2026年2月10日

昆布なくして私なし—富山に根付く昆布文化

登坂 絵莉

富山の食卓には欠かせない昆布。


その富山で生まれ育った登坂絵莉にとって、昆布はなくてはならない存在だ。

そして今、昆布の魅力をより多くの人に伝えたいと感じている。


登坂が語る熱い昆布愛とは。

「昆布の県」富山が育んだ日常の味


富山ではとろろ昆布のおにぎりが一般的で、海苔ではなく、とろろ昆布でおにぎりを包む文化が根付いている。


とろろ昆布には黒とろろと白とろろの2種類があり、登坂自身も「子どもの頃からずっととろろ昆布おにぎりを食べてきた」と話す。


富山は昆布の消費量が国内トップクラスで、おにぎりだけでなく、日常的に食卓に並ぶという。

かまぼこにも昆布が渦巻状に巻かれていたり、刺身などを昆布で締める昆布締めもメジャーな食べ方で、主菜から副菜まで様々な料理に昆布が使われている。


「スーパーでは普通にお刺身が昆布締めで売っていますし、それが当たり前の光景です。私の家でも毎日、昆布料理が食卓に並んでいました。でも、とろろ昆布おにぎりを初めて見た人からは、食べ物と思えなかったと言われて(笑)やっぱり、県外の人からすると衝撃なんだなと思いました」


それでも登坂にとっては、慣れ親しんだ当たり前の味だ。

試合前に食べるおにぎりも、コンビニで買うおにぎりも、決まってとろろ昆布のおにぎりだった。


あまりに当たり前すぎて、「初めて名古屋に行った時にとろろ昆布のおにぎりがなくて、私にとってはそれが衝撃でした」と振り返る。

止まらない昆布愛—魅力をもっと広めたい


登坂の話を聞いていると、富山の昆布文化の深さがよくわかる。


「おでんを頼むと絶対上にとろろ昆布が乗ってますし、給食でもおでんの日には小さいパッケージのとろろ昆布がついてきました」


お好み焼きにも昆布が入るというから驚きだ。

「富山のお店なら普通に昆布お好み焼きがあります。トッピングに昆布って絶対あるんですよ」


まさに、生活のあらゆる場面で昆布が登場する。

富山を離れた後も登坂の昆布愛は変わらなかった。


「本当に昆布のない生活が考えられなくて、実家からとろろ昆布を送ってもらって、自分でおにぎりを作っていました。特に私は昆布締めが大好きなので、魚の切り身を買ってきて自分で昆布締めにしていましたし、お肉も昆布締めにしていました」


現役時代の減量期には、豚ヒレ肉を薄く切り、昆布で締めてから焼いて食べていたという。


「豚ヒレは脂が少なくてあっさりしているので、昆布で締めると味も染みるし、さらに柔らかくなるイメージがあって、よく昆布締めにしていました。調味料を使わずに、昆布味の豚ヒレを食べて減量していましたね」


富山でも肉の昆布締めはそこまで一般的ではないというが、富山を離れてから昆布締めが恋しくなり、専門店を訪れた際に肉の昆布締めの存在を知り、より昆布締めの世界が広がったと話す。


その専門店というのが、およそ10年ほど前、登坂の地元高岡に誕生した【昆布締め専門店「クラフタン」】だ。

「私が富山にいた頃にはまだなかったお店なんですけど、昆布締め大好きな私にとっては衝撃のお店で!実際に行ってみたら本当に昆布締めだらけなんですよ。超昆布なんです(笑)」


様々な昆布締め料理があり、惜しみなく昆布を前面に押し出すメニューは昆布好きにはたまらない。

そして、登坂の昆布愛は食べ方にも表れる。


「富山でも昆布締めの昆布はめくって捨てちゃう人が多いんですけど、私はその昆布も切って食べます。絶対に昆布は無駄にしないですね。昆布愛はかなり強い方だと自分では思っています!」


硬い昆布も締めることで柔らかくなっていく。その食感がまた美味しいのだという。


中学生の頃は、父親と早朝3時に釣りに行き、釣ったアオリイカを昆布締めにしてから学校に行くこともあったというから驚きだ。


富山で育った味、身体にしみ込んだ文化。

昆布の魅力を伝えたいという想いが、登坂絵莉の言葉の端々から伝わってくる。


その想いはきっと、富山の新たな魅力として形を広げていくはずだ。