2025年10月22日

勝ち負け以上の価値を子どもたちへ。登坂絵莉が届けたいスポーツ教育

登坂 絵莉

|レスリングとの出会い、原点となる体験


Q:初めてレスリングに出会った時のことについて、その時の印象やエピソードを教えてください。

私がレスリングを始めたのは小学3年生の時でした。

最初はただ見に行っただけで、実際にはやらなかったのですが、高学年のお兄さんたちがウォーミングアップでバク転をしていたんです。

それを見て「かっこいいなー、私もバク転やってみたいなー」って(笑)

その時は全然レスリングのことは理解してなくて、強くなりたいというよりは、マット運動を習得して学校でヒーローになるんだ!という気持ちでした。


Q:子供時代、レスリングがあってよかったと思えることや、レスリングによって救われたと感じた出来事はありますか?

小学校の頃からコミュニティがとても広かったのはよかったと思います。

レスリングのチームにはいろんな学校の子がいましたし、月1くらいで県外の試合に遠征に行ったり、他チームとの合同練習も頻繁にあったので、自分の学校以外にも友達がたくさんいました。

学校で嫌なことがあったりしても、親に言いにくい時もあるじゃないですか。

そういう時に、外に話を聞いてくれる友達がいてくれて救われたし、自分の学校と家以外に「第三のコミュニティ」があるという安心感は大きかったと思います。

毎日楽しく充実した日々を過ごせたのは、レスリングという一生懸命になれるものがあったからだと思っています。


Q:レスリングを通じて学んだことは何でしょうか。

目標に向かうこと、達成することの喜びや楽しさ、そして難しさや苦しさ、レスリングからはそういう両面を学ぶことができました。

また、個人競技とはいえ、練習はチーム一丸となってみんなで一緒にやっていくので、その中で人との関わり方も学べました。自分が頑張ることや勝つことで、周りが喜んでくれることもすごく嬉しかったですね。


|JOINTS設立の思いとビジョン


Q:JOINTSを立ち上げようと思った背景やきっかけを教えてください。

レスリングを競技としてやるだけでなく、身体作りのためにも気軽に始められるスポーツになってほしいと思ったのがきっかけです。

レスリングは一般的にはマイナースポーツなので、多くの方にとってはあまり馴染みのないスポーツかなと思います。

ただ、ウォーミングアップではマット運動もやりますし、それに加えて対人競技なので予期せぬ動きに対して瞬時に判断するという力も鍛えられます。

まずは競技としてというよりも、習い事の1つだったり、他のスポーツの土台作りだったり、気軽にレスリングを選べるような環境を作りたいという思いから立ち上げました。


Q:初めて子ども向けにプログラムを作ると決めた時、どんなことを一番に考えましたか?

子どもにとっての楽しさを最優先に考えました。

レスリングで勝つための練習ってものすごく地味で、基礎の繰り返しばっかりなんです。

そういう点では面白さを感じにくいスポーツではあるのかなと思っていて。

みんなが楽しみながら技術を習得できるようなプログラムにすることを心がけました。

一つ一つの技ができるようになる喜びなど、小さな達成感を大切にしてほしいと思っています。


Q:JOINTSはご自身にとってどんな意味を持つ場所にしたいですか?

人とのつながりを大切にした「アットホームで親しみやすい場所」にしたいと考えています。

子どもたちにはレスリングに限らず、学校での出来事とかみんなでいろんな話をしてほしいですし、学校と家以外のコミュニティで「第三の居場所」になってくれたら嬉しいですね。

また、JOINTSの仲間がさまざまな場所で頑張る姿を見て、お互いが刺激しあえるような場所であってほしいと思っています。


Q:JOINTSという名前にはどんな思いが込められましたか?

JOINTSのジョイントは関節、接合部分からきていて、「つながり」という意味が込められています。

JOINTSでは運動能力の向上だけでなく、積み重ねることや、一つ一つ丁寧にやりきることの大切さなども学んでほしいと思っています。

レスリングを通して培ったものが他のスポーツへの土台になったり、学んだことが子どもたちの新しい世界へつながる架け橋になったり、人と人とをつなぐ場所になってほしいという思いを込めて「JOINTS」と付けました。


Q:ロゴデザインにはどんな意味やメッセージが込められていますか?

レスリングは握手で始まり、握手で終わるスポーツなのですが、私は勝っても負けても、握手を丁寧にやることを大切にしてきました。

なので、レスリングの特徴である握手、自分が大切にしてきた握手をロゴに入れたいと思いました。

半円にはレスリングマットのイメージと虹のイメージを組み合わせていて、小さい半円は太陽や日の出のイメージで、「ここから始まる」という思いが込められています。

色はレスリングの赤と青をベースに、親しみやすさを込めて水色とピンクにしました。


|見届けたい想いと願い


Q:どんな子どもたちにこのプログラムを届けたいですか?

運動が得意な子だけでなく、運動が苦手な子や人見知りな子にもぜひ届けたいです。

運動が上手ではないけどやるのは好き、あるいは上手にできないから嫌いなど、いろいろなタイプの子がいると思いますが、「できないことができるようになる喜び」は共通して感じられることだと思うんです。

レスリングは人と触れ合うスポーツなので、心の距離が縮まりやすいと思いますし、人とのコミュニケーションが苦手な子にもぜひ一度来てほしいなと思います。


Q:JOINTSに通うことで、どんな変化や成長を子供たちに期待していますか?

子どもたちには、失敗を恐れずに前向きに挑戦し、ポジティブに変化していってほしいと思っています。

JOINTSでは、楽しみながら少しずつチャレンジを積み重ねられるステップ制度を取り入れていて、日々の達成感の中で、自然と「やってみよう」という気持ちや、壁にぶつかった時の乗り越え方が身についていきます。

努力したことをきちんと認めてもらえる場でもありたいですし、スポーツだけでなく、日々の中でうまくいかないことがあっても、ポジティブに進んでいけるようになってくれることを期待しています。


Q:レスリングという競技を通して、子供たちに伝えたいことは何でしょうか?

とにかく前向きに、一生懸命に取り組むことですね。

私自身がずっと大切にしてきたことでもありますが、何かを成し遂げるためには、やはり地道な積み重ねが大事だと思っています。

一つ一つ丁寧に、やるべきことをやり切る。その先に結果がついてくるということを、レスリングを通して伝えたいです。

たとえば「腕立て伏せ10回」と言われたとき、サッと形だけでこなす子もいれば、時間がかかっても一回ずつ丁寧にやりきる子もいます。

私たちは、その“どう向き合うか”という姿勢を大切にしたい。困難に立ち向かう力や、粘り強さを一緒に育てていけるような指導を心がけています。


|プログラムに込めた想い
 


Q:プログラムの特徴について教えてください。

JOINTSでは25級のステップ制度を取り入れていて、定期的なテストを通じて、身体能力の向上を目指していくというプログラムになっています。

マット運動や姿勢・受け身といった“身体の土台づくり”に加え、レスリングならではの“対人での動きや判断力”も、段階的に身につけられる仕組みになっています。


Q:なぜ25級のステップ制度を取り入れようと思ったのですか?

目の前に届きそうな目標があったほうが、子どもたちは頑張れると思ったからです。

日々の中で“目標に向かって取り組む習慣”を育ててほしいという思いもあり、水泳教室などを参考に、達成感を積み重ねられるよう25級に設定しました。

Tシャツの色やワッペンで成長が見える仕組みにしたのも、子どもたち自身に「できた!」という実感を楽しんでほしいから。

試合では結果が出ないこともありますが、自分の成長を実感できれば、前向きに続けられると思っています。


Q:レスリングという競技の中に、どんな教育的な価値があると感じていますか?

レスリングは対人競技なので、人がいないとできないスポーツです。

常に相手と握手し「お願いします」「ありがとうございました」と交わすことで、相手への感謝の気持ち、挨拶や礼儀といった基本的なマナーを身につけることができます。

そういう点においては教育的価値があるのかなと感じています。


Q:子どもたちと関わる上で心がけていることや、声掛けで大事にしていることはありますか?

褒める時はオーバー気味にするというのは意識しています。

「いいねいいね」よりも「めちゃくちゃいいね!それ素晴らしいよ!」みたいな感じで(笑)その方が子どもたちにとっても自信になると思うんです。

あとは、改善点を指摘する前に、まず子どもたちの頑張りを認めることを大切にしています。

自分では頑張っているつもりなのに、頭ごなしに言われたら素直に受け入れられない場合もあると思うので「一生懸命やっていることはわかっているし、良かったよ」と先に肯定します。

その上で、「だけど、もう少しここをこうしたらもっと良くなるよ」というように、一度ゼロベースに戻してから声かけをするようにしています。


Q:ご自身が受けてきた指導の中で心に残っていることはありますか?

子どもの頃は父がコーチのような役割だったのですが、勝っても負けても必ず「よく頑張った」と認めてくれたんです。そのことは、ずっと私の基本になっていますね。

負けても怒られなかったことで、臆することなく試合でのびのびと戦えましたし、勝負強い人間になれたと感じています。

試合前にネガティブな気持ちにならず、ポジティブな気持ちで臨めたのは、勝っても負けても「よく頑張った」と認めてもらえていたことがとても大きかったと思います。


|JOINTSが描く、子どもたちのその先


Q:JOINTSを通じてスポーツ教育や子育ての中で社会に届けたいメッセージはありますか?

子どもたちの進む道にはたくさんの選択肢があるので、JOINTSを通してスポーツに取り組むことの素晴らしさを伝えられたら今後の可能性を広げるお手伝いができるのかなと思っています。

学校や社会では、テストや仕事で結果を求められる場面がたくさんありますよね。

スポーツも同じように結果を求められますが、目標がはっきりしている分、何をすべきかが見えやすいと思います。

そういう面では、子どもたちに「どうしたらできるようになるか」を自分で考えてもらいやすいので、達成までのプロセスを逆算して考える力が育ちますし、目標に向かって努力する経験が自然と積み重なっていくと思っています。

私自身、引退後に様々なお仕事に挑戦する中で、正解のない世界では「ゴールから逆算して動くこと」の難しさを痛感しました。

そうした時に、レスリングを通して培った“目標を立てて努力する力”が大きな支えになっていると感じます。

JOINTSを通して、そうしたスポーツの良さを少しでも多くの人に感じてもらえたら嬉しいです。


Q:今後JOINTSをどのように広げていきたいと考えていますか?

たくさんの子どもたちにレスリングを通したプログラムを届けたいなと思っています。

まずはこの目白の1店舗目で、子どもたちに楽しい時間、学びのある時間を提供できるように最大限努力していきます。

そして、いつかは違う場所の子どもたちにもこのプログラムを届けられるように展開していきたいですし、レスリング選手の今後のキャリア展開にもつながるといいなと考えています。


Q:JOINTSの子どもたちにはどのようになってほしいと思いますか?

一言で言えば「たくましく」なってほしいです。

今は私たちの子ども時代と比べると、学校や習い事で厳しい指導を受けたり、叱られたりということは少なくなっていると感じます。

そうした中で社会に出た時、直面する厳しさに負けない、心が折れないような人であってほしいと思っています。

スポーツを通して、物事の厳しさやそこに向かう取り組み方、楽しさなどを学んでほしいですし、困難に負けない「たくましさ」を持った人になってほしいですね。


Q:最後に、JOINTSへの参加を迷っている保護者や子どもたちに向けたメッセージをお願いします。

レスリングは一見、怖そうなイメージや、始めづらいような雰囲気があるかもしれませんが、一度見てもらえたら、意外とイメージは変わると思います。

少しでも迷っている方がいたら、気軽に一度来ていただいて、雰囲気だけでも見てほしいなと思います。

ぜひお待ちしていますので、よろしくお願いいたします!



登坂絵莉監修の「JOINTS」詳細については下記リンクよりご覧いただけます。

https://joints-wre.jp</a>